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WS ハイブリッド工法による都市型建築構法の研究・その2 MK システムの復元力特性
 
正会員 ○濱田 義之*
同 奥田 勇**、高月 博**
同 籠本真成武***
同 湯前 浩二****
同 三井 篤*****
 
1.はじめに
本研究のWSハイブリッド工法は、モーメント抵抗型ラーメン構法として開発(参考文献1〜4)している。
柱として開発したHCTデザイン構成柱(参考文献3)と梁としての欧州アカマツ集成材をラグスクリューボルト(参考文献6、7)で接合したMKシステムで構成されているが、実施設計(参考文献3、5)において、構造計算における安全性と信頼性が要求される。
本研究は、WSハイブリッド工法が安全に機能するかどうか検証するために、MKシステムの復元力特性を研究したものである。
 
2.WSハイブリッド工法の復元力特性試験
2.1 MKシステム試験体
岡山県の集成材工場で、実施設計に使用する欧州アカマツ集成材を製造した。
MKシステム試験体を510×150と360×150の2種類6体製作し、試験に供した(図1)。
図1において、左側が510試験体、右側が360試験体である。
図1 MKシステム試験体(510、360)
図1 MKシステム試験体(510、360)
 
2.2 試験方法
徳島県立農林水産総合技術支援センター森林林業研究所内木材需要開発センター住宅資材性能試験棟にて、面内せん断試験装置(図2)を使用して復元力特性試験を実施した。加力は、正負繰り返し水平交番載荷とし、変形を1/450rad 、 1/300 、 1/200 、 1/150 、 1/100 、 1/75 、1/50の3サイクルでおこなった。
最後に、1/15を加力して、MKシステムの限界状態(図3、図4)に至った。
図1 MKシステム試験体(510、360)
図1 MKシステム試験体(510、360)
図3 510試験体の限界状態
図3 510試験体の限界状態
図4 360試験体の限界状態
図4 360試験体の限界状態
 
2.3 試験結果
試験結果の一例を図5、図6に示す。
復元力が高く、実施設計の想定耐力をクリアしている。
図5 510試験体の復元力特性
図5 510試験体の復元力特性
図6 360試験体の復元力特性
図6 360試験体の復元力特性
 
3.MKシステムの復元力特性
MKシステムの復元力特性を図5(510試験体)、図6(360試験体)に示す。
復元力特性は、良好な傾向を示し、安全な構造設計が期待できる。
MKシステムの復元力特性から包絡線を誘引した。包絡線(図7、図8)から構造設計に必要な各種の特性係数が算出できる。
しかし、MKシステムの限界状態において、ラグスクリューボルトが引き抜かれ、集成材の割裂破壊(図3、図4)が生じた。
ラグスクリューボルトの破断も観察された。
図7 510試験体の包絡線
図7 510試験体の包絡線
図8 360 試験体の包絡線
図8 360 試験体の包絡線
 
4.まとめ
WS ハイブリッド工法MK システムの復元力特性は、期待できるデータ(図5、図6)を示した。
しかし、集成材の割裂破壊(図3、図4)という想定外の状態を示す。
原因の一つとして、ラグスクリューボルトによる曲げ応力の発生が考えられ、応力伝達経路の研究が必要となる。
 
謝辞
実験とデータ解析は、徳島県立農林水産総合技術支援センターの坂田和則氏にご協力をいただいた。
ここに、暖かいご支援に対して、深く謝意を申し述べます。
参考文献等
1) 奥田勇、籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その3日本建築学会大会学術講演梗概集、2009 年8月 E−1 建築計画T
2) 籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その4 日本建築学会大会学術講演梗概集、2009 年8月 E−1 建築計画T
3) 高月博、奥田勇、湯前浩二、籠本真成武、濱田義之、坂田和則、三井篤:WS ハイブリッド工法の研究開発(第1 報)木質構造研究会技術報告集、2009 年12 月
4) 濱田義之、籠本真成武、湯前浩二、奥田勇、高月博、坂田和則、三井篤:WS ハイブリッド工法の研究開発(第2 報)木質構造研究会技術報告集、2009 年12 月
5) 奥田勇、高月博、濱田義之、籠本真成武、湯前浩二、三井篤:WS ハイブリッド工法による都市型建築構法の研究・その1 日本建築学会大会学術講演梗概集、2010 年 建築計画T
6) 中谷誠, 小松幸平:ラグスクリューボルトの引抜き性能発現機構 (第1 報)、木材学会誌、Vol. 51, No. 2 、2005 年
7) 中谷誠, 小松幸平:ラグスクリューボルトの引抜き性能発現機構 (第2 報)、木材学会誌、Vol. 51, No. 5 、2005 年
*(有)エス・ディ・ルーム
**(有)ゆう建築設計事務所
***(有)ケイツー建築設計所
**** 日向建設(株)
***** 三井プロジェクト総合研究所 農学博士
 
 
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